明るい一揆 in 出石 2日目
2日目は出石永楽館周辺で明るい一揆にちなんだ、さまざまなイベントを開催。
街中で「自衛隊員」を探したり、DJが流すおしゃれな音楽に合わせて椅子取りゲームをしたりと全9イベントが催され、子ども大人も1日楽しみました。
午前10時、いよいよスタートです。続々と家族連れが会場にやってきました。
早速盛り上がっていたのは「駄菓子トレジャーハンター」。各イベント会場で「アカルイイッキ!!!」と合言葉を伝えると駄菓子がもらえます。各会場では…ある男の子3人組が普段入らない洋品店に恐る恐る入って合言葉を唱え、またある子は元気よく会場を駆け回り、またまたある子は「あっちでもお菓子もらえるで!」と口コミを広め、あっという間に街は活気に満ちあふれました。
さて、お菓子を握った子どもたちが次に向かったのは「自衛隊を探せ!」です。制限時間内に、自衛官役と民間兵役の計6人を探すゲーム。始まる前から「山に入らずによかった!」「ドーラン塗ってる人がいる、ガチだ」と飛び交う元気な声。この日のために…6人の男性は前々日から作戦を練り、隠れる場所を念入りに検討してきました。特に唯一の現役自衛官はやる気満々。自衛隊で実際に使う道具も活用し、隠れる前には「頑張ります!」とガッツポーズ。さぁいよいよです!
一斉にスタートした家族連れらは、会場をキョロキョロしながら歩き出しました。迷路のような永楽館ではゲームの効果音が流れ、みなキャラクターになりきって扉を開けたり、階段を上ったり降りたりして探しています。館内を出ると、各イベント会場で隠れてそうな場所を念入りに探す様子も。その甲斐あって、約1時間ほどして全員が見つかってしまいました。最後はどこに隠れていたか参加者みんなで確認。「えーこれは見つからんわ」「これが本気の自衛官かー」と笑い合い、自衛官役らの本気度に驚いていました。参加した小3の男の子は「探すのが楽しかった!」と笑顔。男の子の父親は「普段歩いている地域なのに、初めて気付いたこともあった。街の良さを再確認できた」と話していました。
会場を巻き込んだ大イベントが行われていた中、「ドクター服屋」には多くの女性客の姿がありました。ファッションを楽しめないなぁと感じている人に、服選びを楽しんでほしいと「開店」!まさにファッションセラピーです。店には花柄やピンクの服が並び、見ているだけで明るい気持ちになります。前日に講演したステレオテニスさんは「店主」となり、お客さんの様子を見ながら似合う服や組み合わせを提案。お客さんは「すてきね!」とニコニコしていました。
おすすめされた服を購入した80代女性は「野菜を買いに来たんだけど、たまたまここに入ったら明るい色の良い服があった。気分が上がったわ」とご満悦の様子。それを見たステレオテニスさんは「たまらん!ウキウキしながら帰って行かれてよかった」と笑顔を見せ、ファッションセラピーの醍醐味を感じているようでした。野菜屋さんでは、同じドクターシリーズの「ドクター八百屋」が開かれました。店先に並ぶみかんやトマトなどを買い求める客の中に、白衣を着たお医者さんらがちらほら。買い物客に「体の調子はどうですか」「野菜のビタミンは風邪予防になりますよ」と声を掛け、そのまま世間話や健康の話に花を咲かせています。お医者さんのアドバイスがあると、野菜選びもより気をつけられそうです。
ふと街にあふれる人を見ていると、ベンチに座ってその様子を眺める高齢女性がいました。「この通りに住んでいるけど、初めてにぎわう光景を見た」と一言。子どもや若い家族連れの姿をうれしそうに眺め、日なたぼっこをしていました。その姿にどこかほっこり。
そんなのんびりした雰囲気にマッチしていたのが「サイクルコーヒーチリンチリン」です。
EV車で街を回りながら、いれたてのコーヒーを無料で配っています。途中からはコーヒー待ちが大勢出るほどの大盛況。車の周りではコーヒーをもらいに来た住民同士がお喋りしたり、コーヒーを待つ間に初対面の参加者同士で話が弾んだりと和やかな雰囲気に包まれていました。
お絵かきイベント「但馬のネガティブ妖怪を誕生させよう」でも笑顔の参加者が。地域には人口減少や医療の減少など…「見えない敵」がいっぱいいる中、不安や問題を妖怪として描き「見える敵」にしちゃおうというのが目的。まずは一人一人の心の中にある不安や不満をキャラクターにしていきました。子どもも大人も「起きるのが嫌だな妖怪」や「仕事が終わるか不安妖怪」などを次々生み出し、想像力の豊かさにびっくり!そして笑顔に!
そんな中、よく見ると涙を流す妖怪の姿もありました。「冬ごもり小僧と母親」という名で、どこか悲しげです。「冬になると雪かきが大変で、小さい子を育てる親や高齢者は外出が困難」と悲痛の思いもつづられていました。
それぞれの中にある不安や不満、どうにもならないことは、まず表に出すことで共有できます。一人では解決できなくても、みんなで考えれば何とかなるかもしれない―。涙の妖怪を見て、これこそ明るい一揆が役立つ一つだと思いました。
明るい一揆の出番となりそうな話は他にも。但馬の未来について真剣な相談をする人の姿があったのは「一揆の発起大相談会」です。ストーブを囲みながら但馬住民と話をする男性は「定年退職後に出石に住みたいが、地域貢献を兼ねた仕事はあるだろうか」とのこと。人口減少が進む中で明るい話です!しかし住むには大きく仕事も関わってきます。現状は厳しいかもしれませんが男性の望む仕事についても、明るい一揆が役立てる課題ではないかと感じました。
各イベントが落ち着いてきた午後、軽快な音楽と共に始まったのは「DJ椅子取りゲーム」です。大人も子どもも、DJが流す懐かしい曲やアップテンポの曲に合わせて椅子の周りをぐるぐる。どうにか最後まで残ろうと必死です。聞きなじみのある音楽と笑い声につられてやって来た観光客や住民が興味津々に見つめていました。「何か面白いことをやってる地域だな」「みんな仲よさそうだな」と楽しさを感じてもらえたらうれしいです。
もう一つ、午後から開催されたのは「オンライン診療体験会」。医療機関の減少を見据え、離れた地域の人と医療をオンラインでつなぐプロジェクトで、但馬ではその体制を整え始めています。まず体験してほしいと開かれたコーナーには参加者らが訪れ、別室にいる医師とパソコンの画面を通してやり取り。参加した女性は「起床時に調子が悪い」と話すと医師は「血圧の低さが原因かも。まずは測ってみて」などアドバイス。体験後に女性は「オンライン診療は初めて体験した。病院で診察を受けると緊張するが、これなら落ち着いてできそうだし、短時間で済む」と笑顔でした。もっとオンライン診療に慣れる住民が増えるために、少しずつ理解が広がればと思います。
こうして2日間に渡って行われた明るい一揆は、大盛況で幕を閉じました。住民の皆さんが改めて地元の良さに気付き、課題を楽しみながら解決しようと前向になる姿に元気をもらいました。まだまだ一揆は始まったばかりですが、地域をより良くしていこうという心意気をみなが共有し、さらに但馬が素晴らしい街になることを願います!